いぬのとおぼえ – 犬の手帖

ホーム > いぬのとおぼえ
― 2012.01.02

第9地区 感想

今さらになるとは思うが、一時期話題になったSF作品「第9地区」鑑賞。

突然地球に難民として表れたエイリアンと、現実問題における移民やら人種差別の問題とをかけた話なのだろうが・・・。うーん・・・。主人公が立ち退かせる側のお役所的立場の人間で、自分が立ち退かせる立場から、身に起こる“ある事故”をきっかけに追われ、結果立ち退かせる側を助ける話をドキュメンタリー風に作りました。

と書くと、「なんてアメリカ的な」という印象を受けるかもしれないが、ストーリーに指し障らない程度に書けばこうなるだけで、実際は主人公の行動に対する「お前何やってんの?」感が非常に邪魔に感じてめんどくさい印象が強い。自己中心的な、お役所にいそうな小市民としての人間的な演出をしたかったのかもしれないが、それがストーリーとしてはいちいちリズムを崩してる気がしてならない。そのため、娯楽としてもなんか楽しみきれない中途半端感が残る。

レンタルDVDには、お約束の“未公開シーン”があったが、これが入っていれば話としては「ああ、そういう背景があるのね。」という納得もあってよかったと思えるのが2シーンぐらいあった。娯楽としてとるなら、舞台が南アフリカである必要もないし、社会情勢を背景に敷くならもう少し色濃く出した方が、中途半端さがなかったかもしれないのになぁと何かスッキリしない感じが残った。

見た人によっては、「謎」が多く残ったことに対してスッキリしない感を覚える人もいるだろうが、個人的に残った「謎」に対しては正直どうでも良い。

以下はネタばれにもなるけど、宇宙船がなぜ地球に来ることになったのか。主人公が浴びた液体の正体は。なんで動力である燃料にあんな効果があるのか。そんなこたぁ正直どーでも良いのだ。それよりも、エイリアン問題を現実と結びつけた社会派の映画なのか、単なる娯楽映画なのか、その境界線の引き方が少しうまくないのがモヤモヤの原因だ。娯楽ならもっと主人公目線で始めからやれば良いものを。どうせ後半はずっと主人公追うことになるんだから。結局終わりの方はドキュメンタリーっぽさなくなっちゃうし。アクションも監視カメラからの映像として捉えるうまいやり方考えれば良かったのに。うーん、中途半端さが強い。なんか残念。

― 2012.01.01

2012 年 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

先年は公私共に色々ありすぎてかなり辛かった年でもありました。
『”2012 年 あけましておめでとうございます”』の続きを読む

― 2011.10.30

サバイバル・オブ・ザ・デッド感想

またまたゾンビ映画の感想。

前回、ショーン・オブ・ザ・デッドの感想を載せたが、あの監督・脚本のエドガー・ライトと主演・脚本のサイモン・ペグは、「ゾンビ」を映画的に定義付けしたジョージ・A・ロメロの大ファンで、それが高じて「ショーン」を撮った挙句に本国イギリスで大ヒット。ロメロも絶賛し、(ほんとか分からんが。)20年ぶりの監督作品でショーンの翌年に公開された「ランド・オブ・ザ・デッド」に2人をゾンビ役でカメオ出演させたという話がある。

で、今回はその“映画としてのゾンビ”を誕生させた巨匠、ジョージ・A・ロメロの作品「サバイバル・オブ・ザ・デッド」を。

この作品は先に話を出した「ランド・オブ・ザ・デッド」の前日譚(時系列的に)である、スピンオフ作品「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」の更にスピンオフになる作品で、自身の作品のスピンオフを撮って、更にそのスピンオフを撮ったという、ほんとにこの説明で良いのか分からない作品である。(あ、ということは「ドーン・オブ・ザ・デッド」と「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」と大体同じ時間軸上に当たるのか。)

実際、「ダイアリー」に出てきたチョイ役だった元州兵たちのその後の話で、ゾンビ退治に疲れてどこかヤツラが居ない土地へ行きたいと、追い矧ぎしながら各地を転々としていた時に、ひょんなことから“安全”と喧伝する小さな島に行くことになったのだが・・・というお話。

ゾンビ映画で誤解されやすいのが、ゾンビ映画というのは残虐なシーンが多く、パニックムービーであるという点。

違うから。それは劣化コピーが生んだ誤解である。

“ゾンビ”と“ロメロ”を有名にしたのは「ゾンビ(原題:ドーン・オブ・ザ・デッド)」であるが、更にその前に制作された、初のゾンビ作品である「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」から一貫してロメロは、残虐なだけのパニックムービーは撮ってない。確かに人が食べられるシーンもあるが、物凄く貪り食われるのは1作品につき大体お約束での1回だけで、それは“異常な極限状態”を示すためのシーンであり、中心として描かれるのはあくまで“その状況に置かれた人間”ドラマである。
そこには自分のことしか考えていない奴もいるし、それでも人のために行動を起こす奴もいる。人間が作り出す群像劇が中心だからこそ面白い。“ゾンビ”はあくまで状況を作り上げる為の要素でしかない。

「サバイバル・オブ・ザ・デッド」も然り。人間同士の見栄やら、小さい争いで破滅してゆく人々を皮肉っぽく描いた映画である。生き残る人間は、傍観者であり、人の振り見て我が振りを考えられる人のみである。

70歳を迎えても、なお一貫してロメロ変わらずを示した「サバイバル・オブ・ザ・デッド」。確かに“気持ち悪い”はあるかもしれないが、見ればそれだけではないのが分かるはず。ちょっとでも耐性のある方でご覧になったことのない方、一度ご覧になっては如何でしょう。